POLICY DOSSIER · AI IMAGE GEN
FILE NO. 06 — GLOSSARY

用語集

各社ページ・比較表で使われている専門用語をまとめました。加えて、同じ意味を指しているのに各社が独自の呼び方をしている用語を一覧表で整理しています。 契約書やヘルプページを読み比べるときに、混乱しやすいポイントです。

01 — SAME MEANING, DIFFERENT NAME

同じ意味・違う呼び方 対応表

10社は同じような仕組みを、それぞれ独自の名称で呼んでいます。この対応関係を知っておくと、各社の規約やヘルプページを読むときに「これはどの機能に相当するのか」がすぐわかります。 会社数が増えたため、表は縦に会社名を並べる形式にしています。横にスクロールしてご覧ください。

会社 ①学習ON/OFF設定 ②非学習の一時会話 ③法人向けプラン名 ④IP補償プログラム名 ⑤データ処理契約 ⑥ゼロデータ保持 ⑦来歴表示技術 ⑧学習参加制度
Claude プライバシー設定内の学習利用トグル(名称非公表) シークレットチャット(Incognito) Claude for Work(Team・Enterprise) Indemnification(条項名のみ) Data Processing Addendum(DPA) Zero Data Retention(ZDR) 2026年8月〜C2PA Content Credentials(画像) Development Partner Program
ChatGPT Improve the model for everyone Temporary Chat ChatGPT Team / ChatGPT Enterprise Copyright Shield DPA(Enterprise Privacy経由) 明確な固有名称は未確認 C2PA Content Credentials / SynthID系 フィードバック機能経由のオプトイン
Firefly Content Analysis for product improvement(生成AI学習は別枠) 該当機能なし Firefly Enterprise / Creative Cloud for Enterprise Our Duty to Indemnify 明確な固有名称は未確認 なし Content Credentials(C2PA)標準搭載 Adobe Stockへのコンテンツ投稿
Nano Banana Keep Activity Temporary Chat Google Workspace(Gemini)/ Gemini Enterprise Generative AI Indemnified Services Cloud Data Processing Addendum(CDPA) 明確な固有名称は未確認 SynthID / C2PA Content Credentials 明確な固有名称は未確認
Midjourney 相当する設定なし Stealth Mode(※学習停止ではなく公開範囲の制御) Corporate Membership(コーポレート・メンバーシップ) 提供なし なし なし 非搭載(2026年時点) (そもそも前提)
Copilot Data Controls内、固有の呼称は非公表 明確な機能名の確認なし Microsoft 365 Copilot(Business・Enterprise) Customer Copyright Commitment(CCC) DPA(Microsoft Product Terms内) 明確な固有名称は未確認 不可視watermarkId + C2PA Content Credentials 明確な固有名称は未確認
Grok Improve the model(初期値は非公表) Private Chat Business・Enterprise API Indemnification by xAI(Enterprise限定) DPA Zero Data Retention(ZDR) 可視ロゴのみ確認、C2PA等は未確認 明確な固有名称は未確認
Canva AI Privacy settings内の学習利用設定(名称非公表) 該当機能なし Canva Enterprise Canva Shield 明確な固有名称は未確認 なし C2PA Content Credentials Canva Creatorプログラム
Muse Image 明確なトグルなし(異議申立フォームのみ) 個人間メッセージは別扱い。明確な機能名なし 独立プランなし(Ad Creative AI Terms) 提供なし 明確な固有名称は未確認 なし 可視+不可視透かし(C2PA対応意向) 明確な固有名称は未確認(公開投稿がそのまま対象)
Nova Canvas 概念自体が不要(契約上常に対象外) 該当なし(そもそも学習対象外) Amazon Bedrock(EDP等のEnterprise契約) Indemnified Generative AI Services(上限なし、個人にも適用) DPA(AWS GDPR DPA) 明確な固有名称は未確認 標準搭載(透かし機能、詳細名称未確認) 該当なし

「未確認」としているセルは、公式文書から明確な固有名称・機能名を確認できなかったことを示します(制度自体が存在しない場合と、名称が非公開・非公表の場合の両方があり得ます)。正確な情報は必ず各社の最新の公式文書でご確認ください。

④の列で、GoogleとAWSはほぼ同じ意味の制度をそれぞれ「Generative AI Indemnified Services」「Indemnified Generative AI Services」という、単語の並び順だけが違う紛らわしい名称で呼んでいる点にも注意してください。

02 — TERMS A–Z

基本用語の解説

五十音・アルファベット順ではなく、関連する用語をまとめて読めるようテーマ別に並べています。

プライバシー・データ利用の基本用語

オプトイン(Opt-in)
初期状態では機能・利用がオフになっており、ユーザーが自ら明示的に「利用する」を選択して初めて有効になる方式。学習利用の文脈では「自分で許可しない限り学習に使われない」ことを意味する。
オプトアウト(Opt-out)
初期状態で機能・利用がオンになっており、ユーザーが自ら明示的に「利用しない」を選択して初めて無効になる方式。学習利用の文脈では「自分でオフにしない限り学習に使われる」ことを意味する。オプトインより、ユーザーにとって注意が必要な設計とされる。
Controller(管理者)/ Processor(処理者)
GDPR(EU一般データ保護規則)由来の役割区分。Controllerはデータの利用目的・方法を決定する主体(=多くの場合、契約した企業・組織)、Processorはその指示に従ってデータを処理する主体(=AIベンダー)を指す。Enterprise契約では、顧客側がControllerとなり、データの取り扱いルールを主体的に決められる位置づけになることが多い。
DPA(Data Processing Addendum / データ処理契約)
個人データの取り扱いについて、GDPR等の法令に準拠するために契約に追加される付属契約書。企業がAIサービスを利用する際、自社の法令遵守のために締結することが多い。
BAA(Business Associate Agreement)
米国の医療情報保護法(HIPAA)に対応するために、医療関連データを扱う事業者との間で締結する契約。AIベンダーがBAAに対応していると、医療機関などが安心して患者情報を扱う業務にAIを利用しやすくなる。
ZDR(Zero Data Retention / ゼロデータ保持)
プロンプトや生成物をサービス提供後ほぼ即座に破棄し、ログとして保持しない設定・契約オプション。機密性の高い業務利用で選ばれることが多い。
Temporary Chat(一時チャット)/ シークレットチャット / Private Chat
その場限りの会話として扱われ、通常の会話履歴に保存されず、学習にも使われない機能。呼び方は各社で異なる(比較表①②参照)。
Content Analysis(コンテンツ解析)
Adobeが用いる用語で、生成AIの学習とは別に、製品全般の機能改善のためにユーザーのコンテンツを解析する仕組みを指す。生成AIモデルの学習利用とは異なる論点である点に注意。
Commercial Data Protection
Microsoftが用いる用語で、組織アカウント(Entra ID)でMicrosoft 365 Copilotにサインインしたユーザーのデータが、契約上デフォルトでモデル学習に利用されないことを指す。個人向け無料版・Copilot Proとは異なる保護レベルを示す名称として使われる。
SOC 2 / ISO 27001 / FedRAMP
企業のセキュリティ・情報管理体制が一定の基準を満たしていることを示す第三者監査・認証制度。SOC 2は米国発の監査基準、ISO 27001は情報セキュリティマネジメントの国際規格、FedRAMPは米国政府機関向けのクラウドサービス認証制度。Enterprise向けサービスでは、これらの取得状況が選定基準になることが多い。

商用利用・知的財産の基本用語

Input(入力)/ Output(出力)
Inputはユーザーがサービスに入力するプロンプトやアップロード画像、Outputはサービスが生成する応答や画像を指す契約上の用語。権利帰属の議論では、この2つを分けて規定することが一般的。一部の会社(Metaなど)では、Outputの所有権について、Input(入力)ほど明確に規定していない場合がある。
Indemnification(補償・免責保証)
ある行為の結果として第三者から訴えられた場合に、契約の相手方(ここではAIベンダー)が防御活動を行い、判決や和解にかかる金銭的負担を引き受けることを約束する契約条項。「著作権侵害で訴えられても会社が守ってくれる」という保険のような役割を果たす。無料プランには適用されず、有料プラン・Enterprise契約に限定されることが多いが、AWSのように個人向け利用にも適用される例外もある。
Carve-out(適用除外)
補償(Indemnification)などの契約上の保護について、特定の条件に当てはまる場合はその保護の対象外とする例外規定。例:ユーザー自身が改変した生成物、既に権利侵害を知っていた生成物の利用、ベータ機能で生成した出力など。
Fair Use(フェアユース)
米国著作権法上、報道・研究・批評・引用など一定の目的であれば、著作権者の許諾なくその著作物を利用できるとする法理。AIの学習データ利用が適法かどうかの争点の一つとして、複数の訴訟で争われている(訴訟事例ページ参照)。
Public Domain(パブリックドメイン)
著作権の保護期間が終了した、または放棄された著作物。誰でも自由に利用できる。Adobe Fireflyは、学習データの一部にパブリックドメインの素材を用いていると説明している。
Content Credentials(コンテンツ credentials)/ C2PA
画像や動画がAIによって生成・編集されたことを示す、改ざん耐性のあるメタデータ(来歴情報)の業界標準規格。C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)という業界団体が策定。Adobe・Google・OpenAI・Microsoft・Anthropic・Canvaなど、本サイトで調査した10社の大半が採用・対応を進めている。
SynthID
Google DeepMindが開発した、AI生成コンテンツに埋め込む不可視の電子透かし技術。人間の目には見えないが、専用ツールで検出することでAI生成物であることを判別できる。ChatGPT等、他社の画像生成機能でも類似の技術が使われているとする報告がある。
不可視の電子透かし(Invisible Watermark)
C2PAのようなメタデータとは異なり、画像のピクセルデータ自体に埋め込まれる透かし。メタデータを削除する再保存やフォーマット変換を経ても検出できる可能性が高いとされる。2025年9月時点では、Google・Meta・Amazonの3社が実際に展開している例として挙げられることが多い。

契約形態に関する基本用語

ETLA(Enterprise Term License Agreement)
Adobeが企業向けに提供する、複数年・複数ライセンスを対象とした個別契約の枠組み。価格・補償範囲・再配布条件などを企業ごとに交渉できる。
Corporate Membership(コーポレート・メンバーシップ)
Midjourneyが、年間売上高100万米ドルを超える企業に対して加入を義務付けている法人向けの契約形態。前払い・返金不可という条件が特徴で、他社のような柔軟なEnterpriseプランとは性質が異なる。
Generative AI Indemnified Services / Indemnified Generative AI Services
GoogleとAWSが、それぞれIP侵害への補償(Indemnification)の対象となる有料サービスを列挙したリスト・区分に使う用語。両社の名称は単語の並び順が違うだけで非常に紛らわしい。Googleは有料の法人向けサービス(Workspace・Cloud等)限定だが、AWSは個人の少額利用者にも適用され得る点で対象範囲が異なる。
Development Partner Program
Anthropicが、Claude for Work等の商用契約ユーザーに対して、任意の参加によりデータを学習に利用することを認めてもらうためのプログラム。参加しない限り、契約組織のデータは学習に使われない。
Customer Copyright Commitment(CCC)
Microsoftが2023年10月に導入した、Copilot Enterpriseの商用顧客向けIP補償制度の正式名称。「Microsoft Copilot Copyright Commitment」とも呼ばれる。個人向け無料版・Copilot Proには適用されない。
Canva Shield
Canvaが対象のEnterprise顧客に追加費用なしで提供するIP補償プログラムの名称。Magic Studio製品で生成したコンテンツが対象。個人向けFree・Proプランには提供されない。
Ad Creative Generative AI Terms
Metaが広告主向けの画像生成機能(Advantage+ creative等)に適用する専用の利用規約。個人向けのMeta AIs Terms of Serviceとは別立てで、生成物の利用範囲をMetaのプラットフォーム内に限定するなど、独自の制限を含む。
EDP(Enterprise Discount Program)
AWSが大規模利用の企業向けに提供する価格優遇プログラム。学習非利用・IP補償といったコアの保護自体は個人向けと共通で、EDPは主に価格面でのメリットを指す。